歩きづらい、動作が鈍くなった、睡眠が悪いことを主訴に明神館クリニックを受診されました。
症状からはドーパミンホルモンの減るパーキンソン病に見えます。実際ダットスキャン検査で線条体におけるドーパミン量の明らかな低下が確認されました。問題はパーキンソン病とパーキンソン病類縁疾患との鑑別です。パーキンソン病は有効治療薬があります。一方、パーキンソン病類縁疾患には有効な治療薬はありません。なおかつ、パーキンソン病に比して病気の進行は早く予後もよくありません。両者は似て非なる病気です。鑑別するために、最初から抗パーキンソン病薬による積極的治療を行い、治療薬への反応を見る必要があります。したがって本人へは比較的予後の良いパーキンソン病としての治療説明を行います。抗パーキンソン病薬に対する治療反応が悪く進行する場合は、原則、ご家族だけへの説明となります。類縁疾患の場合には本人への告知は積極的にしておりません。気持ちを落とさないよう心のケアをしながらの治療が大切です。