Q:大田先生、治療の極意について教えてください。

A:極意というより基本は、家族ぐるみで子供の睡眠時間を是正することです。

Q:具体的に教えてください。

A:子供の標準的睡眠時間は、年齢別に分かりやすいグラフになっています。5歳の子供は11時間、10歳の子供は10時間、15歳の子供は9時間です。

Q:これが標準的睡眠時間とすると、今の子供たちは皆、睡眠不足ですねぇ。

A:その通りです。子供の睡眠時間の適正化は、家族ぐるみで取り組まないと不可能です。一番のネックは母親です。片頭痛の子供の母親の多くは片頭痛もちですから、母親の説得が一番のカギになります。その際に問題となるのは、母親の片頭痛性格です。

Q:片頭痛性格とはどんな性格ですか?

A:几帳面、生真面目、どちらかというと柔軟性に乏しい性格です。

Q:具体的に、母親の子供への弊害を教えてください。

A:子供に理想の教育を押し付けようとします。子供にとっては大変なストレスです。

Q:なるほど、母親の過剰な期待が子供のストレスとなり、片頭痛発症の原因となるわけですね。

A:全てではありませんが、親子同じような頭痛性格であっても、力関係でいうと、母親のほうが圧倒的に優位です。

Q:なるほど、治療の第一歩は母親の説得から、母親の考え方の是正から・・とおっしゃる意味がよく分かります。先生の指導されている子供のあるべき正しい生活は、現代社会ではなかなか通用しにくい課題に感じます。

A:小児片頭痛の20%の患者さんは、良くなりません。かわいそうに、子供はストレスを受け続けています。医療の限界を感じます。

Q:まさに社会問題なのですね。20時に消灯し、家中が寝る体制に入るという先生の生活指導は、今の夜型社会には奇異な指導に映るのでしょうか。

A:その通りです。特にヨーロッパの海外ドラマをご覧になればすぐに分ります。天井照明がある部屋は一部で、多くの部屋には天井照明がありません。すなわち、間接照明が主体です。家を作る時から子供の睡眠時間対策が必要なわけです。

Q:よくわかります。20時になるとテレビを消す、携帯を取り上げるなどありますが、今の日本の家庭でこれを実行しなさいというのは、無理があるように感じます。先生のご苦労がよく分かります。だからといって、母親が従わない時、治療を打ち切られるのではないのでしょう?薬の内服は、生活指導の効果がない時とありますが、この辺りを教えて下さい。

A:非協力的な母親ほど、忙しいところを無理して受診したのに、頭痛は良くならない、少量と言っても、子供に薬を飲ませるのはとんでもないと怒る母親がおります。二度と行かないとおっしゃる母親に打つ手があれば、逆に教えて下さい(笑)。

Q:家族ぐるみの協力という意味がよく分かります。それでは、父親はどのように関与しているのでしょうか?

A:悲しい現実は、両親揃って受診する子供は極少数派です。小児片頭痛の場合、子育て、子供の教育に対する父親の理解と協力は特に大切と思います。