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朝起きられない子供たち

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朝起きられない要因

昭和の時代、不登校という言葉が流行りました。そして朝起きられない子供たちの様々な要因が科学的に分析されるようになりました。単なる怠けから学校環境やいじめなど心理社会的要因も増えてきました。平成の時代、子供たちはスマホを持つことが常態化し、子供の睡眠時間は世界最悪の下位一位二位までに短縮しました。そして深夜までスマホで遊ぶ子供が増え、朝起きられない要因の一つとしてスマホ病が登場します。怠け、いじめ、スマホだけでなく別の要因としての起立性調節障害ODの研究が進みました。そして平成の後半から令和にかけて、起立性調節障害ODの子供に対する理解と対応が深まってきました。最近は脳脊髄液漏出による低脳圧症も注目されています。

たばこを吸う人が全て肺がんになるわけではないように、遅くまでスマホをしても、何時間ゲームをしても日常生活に支障なく学校生活を送れる子どももいます。朝起きられない子供たちは小学校5年生6年生からポツポツと出始め、中学生になると急増する傾向にあります。いわゆる思春期と一致して増えるのが特徴です。そこには親からもらった長時間睡眠、自律神経失調、低血圧、片頭痛といった遺伝的要因の関与が考えられるようになりました。

私の外来にはスマホ病ではなくて、頭痛、肩こり、フワフワめまい、起床時痛など小児片頭痛様の症状で朝起きられない子供さんも受診されます。しかし片頭痛だけでは朝起きられない理由としては弱すぎます。片頭痛の治療により症状軽減しても、やはり朝起きられない、学校に行けないとなると起立性調節障害ODを疑います。検査はODテスト、シャロングテスト等を行います。理想は午前と午後2回テストを行い比較することです。起立性調節障害ODであれば多くは午後のテストで改善しています。その他に稀に脊髄液漏出症や子供のうつがあります。

 

 

スマホ病・ゲーム病

睡眠層の後退(遅寝)
厚労省がスマホ病を正式に病名として認定しました。ゲーム依存症はスマホ病と同質です。

就寝前のスマホは  子供の脳にとって猛毒です。
就寝前に限らず、毎日長時間スマホやゲームをしていると、学業成績が下がるだけでなく脳に取り返しのつかない傷害が起きると言われています。
なぜ空は青いの!!  なぜ海は青いの!!

 ブルー以外の色はエネルギーが弱いため上空で消えます。
赤色・オレンジ色・黄色などはエネルギーの小さい長波のため上空で消滅します。短波のブルーはエネルギーが強く大気を通り海の中まで届きます。このため、空は青く海も青く見えるのです。

短波のブルーライトエネルギーが強く、散乱することなく脳に到達し ⇒脳を興奮させせます。
就寝前のスマホ ⇒熟眠感の不足 ⇒朝なかなか起きられない

 

 

 

 

 


就寝前のスマホ(ブルーライト)は脳の猛毒

↓ 全国の医療機関、学校に配布された資料(公益社団法人日本医師会、公益社団法人日本小児科医会資料一部改変)

 

スマホが子どもの脳に与える影響

スマホ1時間以上の使用は成績を下げる

スマホの悪影響はブルーライトだけではありません。東北大学の川島隆太教授による仙台市の小学5年生~中学3年生の約3万7千人を対象に行った調査から、スマホと成績について次のことがわかりました。

・スマホを1日1時間以上、使い続けた子どもはどんどん成績が下がった。

・もともと成績が良かった子も、スマホを使い始めると成績が大きく下がった。

・スマホをもともと1時間以上使用していて成績が悪かった子がスマホ使用をやめる、もしくは1時間未満に抑えたら成績が向上した。

LINE は使ったら使った分だけ成績が下がる

スマホを時間制限しても意味をなさない例外がLINEの使用です。どれだけ勉強しているか、どれだけ寝ているかに関係なく「LINEを使うと直接的に成績を下げる」ことがわかりました。
理由を調べるため、脳の血流変化を調べました。その結果、辞書を使って言葉の意味を調べる場合は思考する時に活発になる大脳の「前頭前野」の血流が増えるのに対し、スマホでウィキペディアを使って言葉の意味を調べる時には、逆に前頭前野の血流は減少し、抑制がかかって働かない状態であることがわかりました。つまり、脳をしっかり使って鍛える時期にある子どもたちの脳は、休息時間が長いと発達、働きが低下してしまいます。また、LINEの影響には心理的な原因もあることがわかりました。LINEのメッセージ音は「誰かからメッセージがきた」という認識につながっており、その通知音がなるたびに情報処理や動作速度が遅くなり注意力が低下したのです。目覚まし時計のアラームでは起こらない反応でした。

 

スマホが破壊しているのは学力ではなく「脳」そのもの

スマホ使用の継続的な影響を調べるため、同じく仙台市在住の5歳から18歳の児童・生徒224名の3年間の脳発達の様子を観察しました。実験方法の概略は、一度目のMRI検査時に、その時のインターネット習慣をアンケート調査で調べました。そして3年後にもう一度MRI検査を行い、3年間の脳発達に伴う大脳灰白質体積の増加を計算しました。インターネット習慣に関しては、「使わせない」「まったくしない」「ごくたまに」「週に1日」「週に2~3日」「週に4~5日」「ほとんど毎日」の7群に分けました。そして1回目に調査したインターネット習慣が3年間の脳発達に与える影響を統計的に検証しました。統計処理にあたっては、家族の数、家庭の年収、両親の教育歴、居住地、睡眠時間、頭蓋容積の影響が結果に反映されないようにしています。
すると1回目の検査時には、大脳灰白質体積に群間差はなかったのですが、3年後にはインターネット習慣に応じた発達の差が認められたのです。インターネット習慣がない、あるいは少ない子どもたちは、3年間で全脳の灰白質体積が増加しているのに対して、ほぼ毎日インターネットを使用する子どもたちは、全脳の灰白質の発達が3年間でほぼ止まっていることがわかりました。
以下の脳の模型では、赤色の部分は大脳灰白質の発達が特に悪くなっている領域です。前頭葉、側頭葉、小脳など多くの領域に悪影響が出ていることがわかります。

 

大脳灰白質の体積だけでなく、神経細胞のネットワークの部分、すなわち神経線維層である大脳白質の3年間の発達に関してもMRI画像で調べました。黄色の部分は、3年間の脳の成長を追跡した結果、インターネット習慣が多いほど大脳白質の発達が遅くなっていると判断された領域です。インターネット使用の頻度が高いと、大脳灰白質や小脳内を結ぶほとんどの神経線維の発達に悪影響が出ていることがわかりました。

 

スマホの使用をやめさせるために

スマホに子守りをさせない/親が規範を見せる
「スマホを取り上げたら自殺する」と親を脅すほど、スマホ依存の強い子どももいます。そうなる前にスマホに子守りをさせないことが大切です。親が四六時中スマホばかりを見ていて子どもにするなというのは無理な話です。親自身がスマホやゲーム、LINEの使用から離れた生活をすることが第一歩です。子どもと話す、一緒に遊ぶ、一緒に家事をする…そういうスマホのなかった時代の普通のことが大切です。

 

依存症は体質/遺伝的な部分がある
両親を含め祖父母、おじおばなど大きな家族の中にアルコールやギャンブルなどの依存症のある家系では、ゲーム依存やスマホ依存になりやすいので、より早くからの対策が必要です。スマホを取り上げると暴力を振るう、暴れるなど依存症傾向が見られる場合には、専門的な治療が必要なこともあります。家族で解決が難しく生活に支障が出る場合は、ゲーム依存専門の医療機関に相談しましょう。

【参考資料】
スマホが子どもに与える影響/データ編 東北大加齢医学研究所長・川島隆太教授に聞く
四国新聞 2019/6/5 https://news.line.me/issue/oa-shikokunews/06115c243fee
「224人の子の脳」3年追って見えたスマホの脅威 成績が低下してしまう真の要因はどこにあるか
川島 隆太 : 東北大学加齢医学研究所所長. 東洋経済オンライン.  2021/01/20
https://toyokeizai.net/articles/-/403770
脳科学者・川島隆太教授が警告「子どものスマホ使用で2時間以上の勉強効果が消える!」
週刊女性プライム 2017/7/30 https://www.jprime.jp/articles/-/10199
高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査報告書

平成26年7月 総務省情報通信政策研究所 https://www.soumu.go.jp/main_content/000302914.pdf

 

家族でスマホ対策

親子でルールを決め、対話を重ね、上手に見守り、親子のコミュニケーションを大切に。
スマホ障害は治療法なく、予防あるのみです。

小学生のスマホ被害は年々深刻化しています。遅寝による学力体力の低下が目立ちます。大切な子供を守るためにスマホについての親の知識を高めて下さい。スマホ障害は医療の力が及ばない依存障害です。病院を受診されても薬物治療はなく、カウンセリング程度です。重度の依存は更生施設が望ましいのですが、日本ではまだありません。

  • キッズ携帯、子供向けスマホはおすすめ

キッズ携帯は大手携帯電話会社が販売する子供向けの携帯電話です。通話の相手先は登録済みの相手に限られアプリのインストールはできません。このタイプは小学生用の緊急時連絡に便利です。衛星利用測位システムGPS機能付きは子供の居場所を把握できます。
子供向けスマホにはLINEは○時から○時までなどアプリごとに利用時間を制限する機能が付いています。

  • 大人用スマホは危険

大人と同様のスマホを持たせる場合は、携帯電話会社が設定する有害サイトの閲覧制限であるフィルタリング機能を付けることができます。また、端末がアイフォンの場合は基本ソフトがiOS12であれば使用時間や機能を制限することができます。アンドロイド端末の場合はペアレンタルコントロール機能のあるGoogleファミリーリンクを使って使用制限できます。ただし最近は制限できないアプリが増えているし、子どもが親のパスワードを割り出して設定を変える可能性もあります。要するに、大人のスマホを持たせるのはリスクが高すぎます。

対応策

  • 小学校教育の間は・・スマホは多機能でどこへでも持ち運べる便利さのため依存性が強すぎます。要は、持たせないのが一番賢明な方法です。しかしスマホを持たせないと友達はゲームや動画を自由に楽しんでいるのにうちはなぜダメなの・・と子どもは不満を募らせます。平素から子どもとの対話を怠らないように注意し、早い時期から勉強に家庭用のパソコンや電子辞書を使う習慣を付けさせることが大切です。どうしても友達とLINEをしたい、でないとノケにされると訴える場合はその時間だけ親のスマホを使わせ、子どもにスマホを持たせないなど賢明な対応が求められます。
  • 親子でルール作り:親子でよく相談しルールを決めておくことが大切です。
    時間 ⇒ 10時までの就寝を決める。スマホの使用は○時間以内。
    場所 ⇒ 家族共通の空間キッチンや居間だけで使う。トイレや自室に持ち込まない。
    有料のゲームやアプリは親の了解の下におこづかいの範囲内で使う。
    会員制交流サイトSNSを使って知らない人とやり取りしない。
  • 中高校生対策:小学生までは親子の会話を重ね、子どもをスマホから守ることは可能です。ところが中高校生になると親子の対話は難しくなり子どものスマホ依存症は急増します。特にオンラインゲームは現実では得にくいチームワークを体験できたり、学校や家庭に比べ遥かに自由な魅力溢れる世界に遊べます。厚生労働省研究班の推計によると、オンラインゲームなどやりすぎるインターネット依存の疑われる中高校生は2017年度全国約93万人にのぼり、年10万人ペースで増加傾向にあると考えられています。一旦拡散すると消去できないSNS被害の増加、オンラインゲーム、LINE依存、インスタグラムDMなど電話番号不要な時代に入っており、睡眠不足、手足の細い虚弱生徒、学力・視力の低下、コミュニケーション障害などネット被害は年々増加しています。すでに親だけの対応では限界がきており社会全体の対応が求められています。
  • 社会に出て:スマホで育った子どもたちは社会に巣立ってから社内社外におけるコミュニケーションに戸惑うことが多いようです。目立つのは電話苦手現象です。電話に出たがらない、留守電を聞いてからかけ直す、メールで済ませたがる、ミーティングでの発言を嫌がるなど職場への適応に時間がかかり、転職を繰り返す場合もあります。昔と異なり海外への渡航を嫌がる、ツアーでないと国外に出れないなど、内向き思考の弊害が目立っています。国境のないグローバル社会が到来しているにも関わらず、孤立を深める日本の若者を憂う声が増えています。

 

寝る子は育つ

急速に発展、進化するネット社会から子どもを守るのは至難の時代となりました。だからと言って諦めるのではなくネット被害についての情報に関心を持ち、子どもと情報を共有することが大切です。自分たちが産んで育てた子ども、何事も親は知らなかったでは済みません。新たな問題として、最近は子どもより親のスマホ依存が増えており、子育て放棄、家庭崩壊、離婚の増加など子どもにとって過酷な時代と言われています。子どもは国の宝です。21世紀は社会全体、地域ぐるみで子育てをする時代と言われています。ヨーロッパではこの考え方が広がっています。日本の子育て支援も待ったなしの時代を迎えています。

 

睡眠相後退症候群

朝起きられなくて不登校になる子どもたちの原因として睡眠リズムの障害があります。代表的なのは、睡眠相後退症候群です。次に非24時間睡眠覚醒リズム障害、不規則型睡眠障害があります。本章では睡眠相後退症候群について説明します。
発症の原因は、夏休み遅くまで遊んだ、遅くまで試験勉強を頑張ったなど単純なきっかけが多いとの報告があります。体に起きている変化は体温リズム、ホルモンリズムが数時間(3~6時間)遅れることを指摘する報告があります。

 

人は脳の視床下部、視交叉上核に体内時計を持っています。太陽は一日24時間周期ですが、人の体は24.5~25.0時間周期のため毎日1時間太陽との間にずれを生じます。体内時計はこの1時間のずれを無意識に調整してくれるありがたい時計(概日リズム調整時計)です。遅寝の子供たち、起立性調節障害ODの子供たちの体内時計(概日リズム調整時計)は1時間のずれの調整が上手にできなくなっています。毎日1~2時間の時間修正ができないため、他の子供より就寝時刻が1時間2時間と遅れる傾向にあります。簡単に遅寝習慣に陥ります。毎日1時2時に就寝するのは軽い睡眠相後退症候群、3時4時に就寝するのは典型的な睡眠相後退症候群です。この睡眠パターンに入り込むと早寝早起きしようと思ってもなかなか実行困難です。寝れないのでスマホをいじることになりさらに遅寝となる危険性を持っています。この遅寝症候群から脱却するには大変なエネルギーが必要です。したがって、親子力合わせて予防に力を入れるべきです。

 

時計遺伝子について

朝起きられない子供たちの治療は簡単ではありません。本人のやる気と家族の支援、その次に治療介入があります。朝起きられない理由は、一日の昼と夜のリズムに歪みが生じていると考えられています。専門用語で言えば、概日リズムの周期や位相の形成に関与している複数のホルモンの異常が示唆されています。気分障害として有名なうつ病、躁うつ病には症状の季節性や日内変動が知られています。すなわち朝と昼では気分が変化することが古くから知られています。睡眠と覚醒リズムの周期や位相の変化も季節性や日内変動があります。こういった概日リズムや概日リズム位相変化に関与するのは時計遺伝子です。

※睡眠日誌は少なくとも2週間、生活日誌は1ヶ月程度記入してもらいます。

<睡眠日誌> 睡眠相後退症候群 軽度

 

<睡眠日誌> 睡眠相後退症候群

 

生活日誌をつけていただきます

消灯時刻とウォーキングの時間、この2つの課題の改善と治療効果の間には高い相関が見られます。
1ヵ月の集計点数が安定し、 100点超えを目指します。

 

【治療への模索… 】

軽症の場合は、毎日10分から15分ずつ消灯時間を早くし、起きる時間も早くしていきます。重症で朝4時~6時に就寝する子どもの場合、逆に思い切って睡眠相をずらし、毎日5~6時間ずつ遅く寝る方法を試します。いずれにしても治療は困難を極めます。定時制への進学、夜間就労などの対応策が考えられます。

 

光照射

概日リズム睡眠障害では、概日リズムの発信を行っている時計遺伝子は光に同調同期する特性を持っていますので、朝の早い時間帯に高照度光照射を行う光治療にも期待が寄せられています。
治療の基本は本人のやる気、家族の協力、そして光療法の組み合わせです。なお、1万ルクス前後の光照射装置については機種を紹介しますので各自で購入をお願いしています。

オレンジ色

私たちの目は虹の七色を識別します。波長の長いオレンジは脳にやさしいので、夜の入眠困難の子供たちには夜間オレンジ色の照明がお勧めです。

 

メラトニン

メラトニンは後退した睡眠相を前進させる効果があると言われています。朝の光照射療法と組み合わせると効果をみる場合があります。
睡眠相後退症候群は、たとえ10時に布団に入っても、後退した睡眠時間まで3時間も4時間も寝つけないのが特徴です。メラトニンは脳の松果体という部位から分泌される抗酸化ホルモン、二次性徴抑制ホルモンです。このためメラトニンは処方量に制限が設けられています。第二次性徴に影響しない1~2㎎を就寝よりも2時間位前に内服します。

 

時計遺伝子調整薬

ビタミンB12、リチウム(リーマス)、バルプロ酸(デパケン、バレリン、セレニカなど)
リーマス、バルプロ酸はイノシトールモノフォスファターゼIMPaseやGSK-3βを標的因子として概日リズムの発信を行っている時計遺伝子の発現に関与し、睡眠覚醒のリズムを正常化する作用があると考えられており、これらの薬剤を組み合わせた治療に期待が寄せられています。

 

朝起きられない要因となる疾患

起立性調節障害

起立性調節障害ODとは、簡単にいえば、健康であれば立ち上がるなどの動作時に調整される血圧のシステムが正常に働かず、低血圧を引き起こす症候群です。主な症状に「朝起きられない」「立ちくらみ、めまい」などがあります。平成6年より6年後の12年が増加、中高生になると割合が高くなることから、スマホやゲームの使用、遅寝などの生活リズムの変化との関連が推測されます。中学生、高校生の女子に多いのは月経との関係が指摘されています。なお、前述したように、人間関係、なかでもいじめは起立性調節障害ODの引き金となる場合があります。

 

<症 状>

  1. 立ちくらみやめまい
  2. 起立時の気分不良や失神
  3. 入浴時や嫌なことで気分不良
  4. 動悸や息切れ
  5. 朝なかなか起きられず午前中調子が悪い
  6. 顔色が青白い
  7. 食欲不振
  8. 腹痛
  9. 倦怠感
  10. 頭痛
  11. 乗り物酔い

 

<種 類>

  1. 起立直後性低血圧 INOH
  2. 体位性頻脈症候群 POTS
  3. 血管迷走性神経性失神 NMS
  4. 遷延性起立性低血圧 delayed-OD
    脳血流低下型(起立性循環不全型)
    高反応型

<頻 度>

 

 

<問 診>

問診によって単なる横着病なのか、学校環境やいじめなどの心理社会的要因の関与があるのかないのか、生活習慣を含め子供さんの状況を詳しく質問します。

 

【 身体症状 】

1. 立ちくらみやめまいを起こしやすい
2. 立っていると気持ちが悪くなる、時間が長いと倒れる
3. 入浴時や嫌なことを聞くと気分不良になる
4. 少し動くと動悸や息切れがする
5. 朝なかなか起きられず午前中調子が悪い
6. 顔色が青白い
7. 食欲不振
8. 腹痛を時々訴える
9. 倦怠、あるいは疲れやすい
10. 頭痛、肩こり
11. 乗り物に酔いやすい

 

【 心理社会的症状 】

  1. 学校を休むと症状が軽減する
  2. 身体症状が再発、再燃を繰り返す。
  3. 気にかかっていることを言われると症状が増悪する。
  4. 一日のうちでも身体症状の程度が変化する。
  5. 身体的症状が2つ以上にわたる。
  6. 日によって身体症状が次から次へと変化する

以上のうち4項目が週1~2回以上見られる場合、心理社会的因子の関与ありと判定する。
「日本小児心身医学会ガイドライン」より引用

 

<自律神経機能検査>

ODテストまたはシャロングテスト 午前・午後2回の検査が望ましいです。
検査は指先で測る連続血圧計を使用します。

仰臥位 ⇒ 起立位 ⇒ 起立維持10分間の血圧、脈拍を連続的に測定します。
起立性調節障害の条件を満たせばODと診断できるかといえばそうとは限りません。
普通の学校生活を送っている健常な子供にもODテスト、シャロングテストでODの診断基準を満たす例はあります。
問診とODテストまたはシャロングテストから起立性調節障害疑い、または診断をします。

※ 結論的には起立性調節障害の確定診断率は100%未満です。
※ OD単独の場合はいいとして、ODと小児心身症の合併、ODと小児片頭痛の合併、ODと概日リズム睡眠障害の合併、さらには複数合併している例では病状は複雑で治療に難渋します。

 

<血液検査>

貧血、甲状腺機能、ミネラル(亜鉛、鉄、マグネシウム)、ビタミンB群

<脳MRI検査 全脊椎MRIミエログラフィー

主に脳脊髄液漏出症の診断に使われています。

 

<薬物療法>

ノルアドレナリン補充療法

ノルアドレナリン補充療法は、土日祭日は休薬します。
メトリジン(ミドドリン)、リズミック(アメジニウムメチル)、インデラル(プロプラノロール)、エホチール(エチレフリン)

※ メトリジンは交感神経α受容体刺激作用を持ち、動脈静脈の血管を収縮させ循環血漿量を増やす作用があります。このため血圧、頻脈に効果があり起立性調節障害の第一選択薬として推奨されています。メトリジンは口腔内崩壊錠がありますので寝床の中で飲ませることができます。私の経験ではメトリジンの立ち上がり効果は弱く2週間かかる印象、また2~3ヶ月を過ぎると慣れによる薬剤感受性低下をみることがあります。この場合は週単位の休薬を試みます。
※ リズミックはノルアドレナリンの活性を高め交感神経機能を亢進させます。効果を実感できる薬ですが動悸、立ち眩み、頭痛、めまいなどの奇異反応が5%未満ありますので注意が必要です。

※ インデラルは通常不整脈の治療に使われます。起立性調節障害ODでは体位性頻脈症候群だけに使います。10㎎錠なので朝食前に半錠~1錠内服します。ただ、気管支喘息を持つ子供さんには使用できません。

※ その他
ドプス、エホチールが有効な場合があります。
メチルフェニデートの有効な場合があります。

 

起立性調節障害における薬剤リスト

 

<参考資料>

 

<非薬物療法>

水分と塩分

起立性調節障害ODの軽症例では非薬物療法から開始します。水分を多くとりましょう。子どもの体重が30kgの場合では1日1.5リットル、45kg以上では2リットルが必要です。塩分は少し多めに摂取します。日に9g~10gが目安です。

運動

起立性調節障害ODはいきなり生活リズムを整えようとせずに、徐々に軽い運動と早寝早起きの心がけましょう。
運動療法では心拍数が120を越えない程度の軽い運動を毎日行います。午後の散歩程度のウォーキングを10分、20分、30分と徐々に増やします。起立性調節障害ODの多くは運動が嫌いです。横になりっぱなしになりがちなので座位に努めてください。起立時にはいきなり立ち上がらずに、30秒程かけてゆっくり起立します。歩き始める時にも頭位を前屈させれば、脳血流が低下しないので起立時の失神を予防できます。起立中には足踏みをしたり、両足をクロスに交叉すると血圧低下が防げます。早寝早起きなどの規則正しい生活リズムを心掛けるようにしますが、なかなか実行困難なので焦らず声かけ程度にしておきます。

気温の暑い場所は避けましょう。高温の場所では、末梢血管は動脈、静脈とも拡張し、また発汗によって脱水をおこし、血圧低下を来します。体育の授業を見学させる時は、必ず保健室などの室内において、座って待機するようにします。夏休みが終わった2学期から学校に行けない子供が増える傾向があります。

弾性ストッキング

起立性調節障害ODは下半身に血液が溜まらないように、下半身への血液貯留を防ぎ血圧低下を防止する装具があります。弾性ストッキングやODバンドのような加圧式腹部バンドは適切に利用すると効果があります。

 

起立性調節障害OD/体位性頻脈症候群POTSに対する認知行動療法

認知行動療法という治療法を聞いたことがありますか。理学療法など、身体的なリハビリテーションはよく知られていますが、こころのリハビリテーションについては、日本の医療は世界的に追いついていません。こころの問題は精神科や心療内科のみならず、世界的には慢性痛や慢性疾患、子どもの様々な病気など、診療科を問わず有益な方法として提供されており、認知行動療法Cognitive Behavioral Therapy: CBT、とくにマインドフルネスを基盤とした認知行動療法Mindfulness based CBTは、医学的に効果が認められています。日本では2018年に医療現場での活躍が期待される心理士として公認心理士制度が始まりましたが、診療報酬の適用範囲も限定的で試行錯誤の段階です。

認知行動療法は病気への適応を支援する

英米では主に体位性頻脈症候群POTSに対して、薬物療法前に認知行動療法が推奨されています。日本でも起立性調節障害OD治療を長年専門にしている田中英高医師は、子どもの学業回復、社会性維持のために心理的な専門家と連携することや、保護者へのカウンセリングや認知行動療法の重要性を指摘しています。


 体調と上手く付き合う5つの要素

https://www.potsuk.org/cognitive_behavioural_therapyより 

 【参考資料】
POTS UK. Cognitive-Behavioural Therapy for Chronic Health Conditions.
https://www.potsuk.org/cognitive_behavioural_therapy
Co-Managing POTS Patients: Interdisciplinary Specialist and Primary Care Treatment
https://pediatrichealthnetwork.org/wp-content/uploads/2020/08/FOP-2017-Lotke-Langdon-Gray-Fletcher-FabianCo-Managing-POTS.pdf
不登校を伴う起立性調節障害に対する日本小児心身医学会ガイドライン集を用いた新しい診療.
田中英高. 心身医.53:212-222.2013

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/53/3/53_KJ00008580921/_pdf/-char/ja
Cognitive and psychological issues in postural tachycardia syndrome.
Vidya Raja. et al. Autonomic Neuroscience: Basic and Clinical. 215:46-55. 2018
https://www.autonomicneuroscience.com/article/S1566-0702(17)30282-5/pdf

 

脳脊髄液減少症

脳脊髄液漏出症と低髄液圧症とがあります。両者は同じものではなく、別物とする意見、オーバーラップしているため分けるのは困難とする意見の両方があります。朝起きられない子どもたちの対象になるのは、低髄液圧症です。低髄液圧症は自律神経の不調から脳性髄液の産生が低下した状態と考えられています。一方、脳脊髄漏出症は何らかの原因、例えば転倒、転落、衝突、尻もちなどの外力により、脊髄を包んでいる袋(硬膜)に傷が入り脳脊髄液が漏れて低髄液圧症となったものです。しかし原因不明のケースもかなりあります。

典型的な症状は寝ていれば頭痛はないが、起き上がると頭痛がします。診断は問診とMRI検査によります。まず低髄液圧症と診断し、次に脳脊髄漏出症を疑い検査を行います。脳脊髄漏出症が有名になりすぎて診断治療に混乱を来している現状があります。

治療はブラッドパッチ療法といって採血した自己血を脊髄を包んでいる袋(硬膜)の外に注入します。自分の血液を糊のように使って空いた穴をふさぐ治療です。

MRI検査 画像診断基準による

 

子供のうつと過眠症、いじめ

子どものうつ

一般外来で最も危険な病気は子供のうつです。小児精神科医の少ない我が国では子供のうつが紛れ込んでくる可能性があります。感情の鈍麻、共同生活への興味の喪失を来たし、起床困難となり朝食も摂らなくなり、学校にも行かなくなります。このような場合、子供のうつを疑い精神科への紹介を模索します。年少の場合はなるべく早期に精神療法を行っている専門医に紹介する必要があります。なぜなら、14、15歳から自殺念慮、そして自殺が増えてきます。この年頃の死亡の第2位は自殺です。

 

過眠症 ロングスリーパー

ナルコレプシーのような原因のある過眠症ではなく、全く原因のない過眠症として特発性過眠症があります。よくよく聞いてみると父親が過眠症であったり、おじいちゃんが過眠症であったりします。昔は長眠者と呼んでいました。今はロングスリーパーとも言われています。日に10時間、11時間、または11時間以上体質的に眠る子供は必然的に朝起きられず、学校に遅れます。正しい診断をしてあげ、社会の理解を得ることが必要です。

 

いじめ

いじめは子供にとって深刻な問題です。学校に行きたくないと思うだけで迷走神経が興奮し頻脈、血圧低下などを生じます。<心のストレス ⇔ 迷走神経反射>すなわち、心のストレスでも迷走神経反射を起こし、起立性調節障害ODを起こすのです。
お猿の社会といじめの構造は似ています。オラウータンは類人猿の中でも人に近く、強い親子関係、社会関係があると言われています。インドネシアではオラウータンの学校という親を亡くしたオラウータンの子どもを自然に返す取り組みが行われていますが、そこではエサの探し方、取り方だけでなく、仲間との付き合い方も学ばせます。ところが、弱い者いじめはどこにでもあります。全ての猿がいじめるかというとそうではなく、特定の猿がいじめをするようです。オラウータンの学校の間は人が介入してエサを与えますが、自然に返される段階では、いじめられてエサ場に行けない猿は、生きていけなくなります。ニホンザルの群れの場合、人の介入がほとんどない下北半島のサルでは群れ同士の争いはあっても、いじめはないそうです。その代わり厳しい序列があって、群れの上位のメスから生まれたメスは一生群れの中で上位を保つのだそうです。一方、人によってエサ場が作られている九州の高崎山のニホンザルでは、エサ場をめぐる仲間はずれや対立があるそうです。お猿と人間は近縁種とはいえ…これだけの文明を作り上げても、おサルさんとやっていることが同じなのは、少し残念です。
いじめを疑った場合、迷わず学校との連携が大切です。

(参考)
人類史のなかの「いじめ」と「ひきこもり」要約版 正高信男 https://web-opinions.jp/posts/detail/293
NHKオンデマンド オラウータン ジャングルスクール https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2019100690SA000/

 

子供の生活指導

1.家庭の照明

明るすぎる照明 (図参照)

天井に照明器具をつける習慣の日本では、部屋の照明が明るすぎることに気がつきません。
家族全体の消灯時刻が遅い、父親の帰りが遅い、子供は早寝のしつけができない、子供が遅寝をしても注意せず放置しているなど様々です。

 

2.運動習慣のメリット

リズムウォーキングは大切

運動習慣 ウォーキングの効果
「無重力宇宙」にいる飛行士は10倍のスピードで骨(骨密度)と筋肉が衰えます。

地上でできる手軽な有酸素運動はウォーキングです。ウォーキングは脳の血流を増やし、脳を癒やします。癒しの力は睡眠に劣らない効果を発揮します。
地上では歩けば 「着地重力」による骨への衝撃による骨密度への効果、同時に筋肉が鍛えられます。

重力効果  毎日30分以上のリズムウォーキングが効果的です。

無重力状態での宇宙飛行士の悩みは、、筋肉の衰え、特に心筋と下肢の筋肉委縮、骨からカルシウムが溶出、閉鎖環境と概日リズムの乱れ、鼻閉などによる睡眠リズム障害に苦しみます。そして、骨メッセージ物質、筋肉メッセージ物質の恩恵をもらえません。地上の楽園とは比べようがないそうです。

★骨・メッセージ物質
・オステオカルシン 
→ 記憶の増強作用
・オステオカルシン → 生殖力の増強作用
・オステオポンチン → 老化と免疫力低下の抑制作用(抗がん作用)
・スクレロスチン   → 骨量のコントロール作用
2006国際骨免疫会議始まる。 上記の抗うつ抗がん認知の増強作用はまだ定説ではない。

★筋肉・メッセージ物質
・IL-6
 → 免疫暴走の抑制作用
・マイオカインX → 熱の産生、体温維持作用
・カテプシンB → 神経細胞保護、記憶の増強作用

・マイオカインX  笑顔・睡眠ホルモン作用
・マイオカインX → 炎症・動脈硬化抑制作用

 

3.早寝のメリット

子供の成長・学力・体力に大切

睡眠中の大切な仕事は、①昼間の活動で疲れた脳とサビた体の修復作業、②昼間の学習内容を整理整頓し記憶にする作業の二つです。疲れを取り、サビ落としするホルモンは成長ホルモンとメラトニンホルモンです。この二つのホルモンは午後10時から急上昇し翌日の午前3時に急降下します。午後10時~午前3時をゴールデンタイム黄金睡眠と言います。遅寝の人の体はさびたまま翌日を迎えます。

 

子供の学習力を高めます

さび落としの時間帯午後10時~午前3時は学習の時間帯でもあります。
海馬および前頭葉は昼間に学習した知識をさび落とし時間の午後10時~午前3時の間に整理整頓し、記憶ボックスに収納します。収納された記憶があるから試験の時に答えを書くことができるのです。
夜の部活、夜の学習塾は脳の記憶整理のための時間帯を圧迫し、かえって学力の停滞から学力の低下を来すと考えられています。

消灯時刻と学業成績は相関します

 

 

 

 

 

一財)渋谷長寿健康財団研究員 医学博士
医療法人祥和会  明神館クリニック       大田浩右

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