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インフォームドコンセント 万が一へのお願い

~検査・処置・手術を受けられる方へ~

偶発余病のリスクマネジメント

若い人でもありますが、中年を過ぎ、歳をとるほど本人も気付かない、人間ドックでも気付かない隠れた余病、潜んでいる余病が、検査・処置・手術などの医療行為をきっかけに突然発症することがあり、中には予見することも回避することもできない不可抗力の偶発余病が増えています。

最近は、世の中がとても難しくなりました。少し難しく硬い文章で申し訳ないのですが、ご一読のほどお願い申し上げます。

今や情報は隠すものではなく積極的に開示する時代となりました。検査・処置・手術がなぜ必要なのか、病院側の説明に対し、十分に納得ご理解いただけたでしょうか? また検査・処置・麻酔を含めた手術などの起こりうる合併症について、十分な説明を受け、納得ご理解いただけたでしょうか?

万全な準備と体制の下に最新の設備と最高の技術をもって誠心誠意努力しても、偶発余病などによる万が一の危険が避けられない場合があります。万が一とは言葉の通り、10,000分の1、0.01%の危険率のことです。検査中・手術中・リハビリ中などに全く予期していなかった心筋梗塞等々による突然の死。または検査中腹部の動脈瘤破裂等々による死に近い状況が不幸にして起きた場合、関係者は冷静でいられるはずはありません。

ご家族の中にはパニック状態となり、病院側の説明に納得せず、病院が何かミスを隠しているのではないかと強い不信感を持ち、叱責から暴言まで、病院を犯罪者扱いにされる場合があります。いかなる検査、いかなる手術も100%安全なものではありません。何事にも万が一の危険率、リスクを伴います。従って万が一のリスクを考えると病院は検査も手術も極端に言えば何もできないことになります。

病院は、病気をもっておられる患者さんの自己責任に基づく自己決定権による承諾に基づいて、責任を持って検査・処置・手術を実施することになります。

堅苦しい話で恐縮ですが、病院と患者さんとの間には、診療録カルテが作成された段階で診療契約が成立します。この時契約した病院や担当医に対し患者さんが要求する医療水準が高いほど、また病院や担当医に対する信頼度が高いほど、万が一の場合に病院と本人・家族との間に生ずるギャップは大きいといわれています。

万が一の場合は、誠実に施術前の説明と照らして原因を明らかにする。第三者である他病院の専門医の意見を求めるなどして、お互いの納得を目指す努力をしたいと考えます。不幸にして死に至り、納得が難しい場合にはやむを得ず、病理解剖を検討することもあります。明らかに医療ミスと考えられる場合は司法の調停による対応をさせていただくことになります。

以上、難しい言葉を並べましたが、医療の抱えている万が一の宿命についてご理解の上、承諾書への慎重なるサインをお願いいたします。

太陽新聞 2000年6月18日掲載

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