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未破裂動脈瘤が発見されたらどうする

予防的手術は本人の判断と希望

未破裂動脈瘤とは

未破裂動脈瘤について教えてください。

脳血管の弱い部分、ほとんどが血管分岐部に先天的に弱い部分があり、加齢による動脈硬化や高血圧などが加わり次第に膨張し、コブ状になり、動脈瘤となります。

脳ドックなどのMRA検査等により破裂していない脳動脈瘤が発見される場合があります。発見率は60歳未満の中年層の男性で0~3.1%、女性が0~3.4%、60歳以上の高年層になると男性が4.3%~4.9%、女性が7.4~12.0%の発見率といわれています。

これがある日突然破裂するとクモ膜下出血という重篤な後遺症を残したり、突然死の多い非常に危険な病気となります。

破裂の確率

脳動脈瘤が発見された場合、破裂する確率はどうですか?

いまだ説得力のある十分なデータがないのが実情ですが、文献的には年間0.05%~3.0%、平均して1.0%~2.0%の破裂率といわれています。

よって理論的には自然経過において10年間で10~20%、20年間で20~40%の破裂率となります。

治療法

脳動脈瘤が発見された場合の治療はどうしたらよいでしょうか。

血圧のコントロールを行い、様子を見る方法と、開頭手術や血管内手術により脳動脈瘤を処置する予防的手術があります。専門医に相談し、自分にあった治療法を選択してください。

日常生活の注意事項

血圧のコントロールなどで様子を見る場合、どういったことに注意が必要ですか?

日常生活において以下のことに注意してください。

(1)血圧を上げない
降圧剤内服中の人は、血圧のコントロールを十分に行う。イライラしない。興奮しない。
(2)前屈姿勢はさける
洗顔時の前かがみ姿勢などはよくない
(3)便秘に注意
排便時に力まない。その他、お酒、タバコを控える。規則正しい生活。睡眠不足をしない。適度な散歩を心掛ける等でしょう。

予防的手術

予防的手術を検討する根拠はどういったものですか?

クモ膜下出血死亡率は、発生時の死亡率が30~40%、血管攣縮などの合併症による死亡率が10%程度、合計40~50%の高率な死亡率が根拠となっています。以下の要件で破裂の可能性が高いと考えられる場合には、予防的手術を検討します。

【大きさ】
4~5ミリの中等度の動脈瘤では壁に非薄化等の変化が起こり、これらの変化は当院の手術所見からも確認されており、臨床的には危険サイズといってよいと思われます。特に10ミリ以上の動脈瘤の破裂率は有意に高いと報告されています。
【形】
プレブ(娘動脈瘤)を形成し、動脈瘤の形状が不整のものは、整のものに対して有意に破裂率が高いとされています。
【部位】
多発性脳動脈瘤における部位別破裂率を見ると、1位が椎骨脳底動脈瘤、2位が前交通動脈を含む前大脳動脈瘤、3位が内頚動脈瘤、4位が中大脳動脈瘤となっています。
【年齢】
平均破裂率1~2%に対し、40歳代、50歳代の破裂率は4~5%と高い。生涯破裂率の推計学的検討によると、破裂率は加齢とともに減少し、70歳を境に破裂率は低下しています。
【家族歴】
家族歴のない方に比べて動脈瘤発生頻度も高く、その破裂率は高くなります。
【経時的検査】
3ヶ月おき、6ヶ月おきなどの経時的検査において動脈瘤の大きさが増大する場合は、破裂の危険性はさらに高くなります。

予防的手術ができない場合

予防的手術が否定的な場合はどういった場合ですか?

以下の要件に当てはまる方は否定的と考えられます。

70歳以上のご高齢の方、脳梗塞、脳出血などの既往歴がある場合、手術により神経脱落症状出現の可能性が高いと予測される場合、糖尿病、喘息、心疾患、肝障害、腎障害など、心肺肝膵腎に合併症を有する場合、本人の希望がない場合などです。

予防的手術を検討する場合、以下のことを今一度ご確認いただき判断してください。

  • 予防的な側面の強い治療であること
  • 予防的手術が必要との確たるエピデンスは未だないこと
  • 心理、生活、価値観により本人自身の判断が必要なこと

未破裂動脈瘤は、破れる危険性をもってはいますが、現時点では発病していない対象であり、それだけにその対応のあり方は苦慮するところです。原則病院側から手術を勧めることはありません。

予防的手術はあくまでも本人の判断と希望によります。手術をする病院の手術成績を参考にされ、自己責任において、慎重な判断をお願いします。

太陽新聞2001年2月4日掲載

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