<ケース13> 原因不明の眠気
夜は普通、または長めの睡眠を取っているにも関わらず、過度の眠気のため会社の仕事に支障を来している26歳男性Sさんのケース。
- Sさん
- 夜は十分寝ているのですが、日中眠気が強く我慢できず会議中などに居眠りをし、度々注意を受けています。
- 大田医師
- 全く健康な睡眠を取っているにも関わらず、日中の眠気で困っている人は意外と多いです。私の外来でもそうですが、米国の『睡眠クリニック』の統計では特発性過眠症は15%おられるそうです。
あなたは何時間ぐらい寝ていますか。
- Sさん
- 8時間から9時間寝ています。
- 大田医師
- 過眠症の原因を調べるためにはやはり睡眠ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査が必要です。
- Sさん
- 検査結果について教えてください。
- 大田医師
- 過眠症の原因である睡眠時無呼吸症候群や、周期性四肢運動障害他の異常はありませんでした。その他の画像検査・脳波検査にも異常はありませんでした。反復睡眠潜時検査では、入眠までの時間が5分と過眠症を裏付けていました。
- Sさん
- それでは原因はなんでしょう。
- 大田医師
- 中枢性に問題があるのではと言われていますが、今のところ具体的に原因がわかっていません。原因がわからないことを“特発性”と呼びます。
- Sさん
- 十分寝たにも関わらず目覚めが悪いのはなぜでしょう。
- 大田医師
- 特発性過眠症の特徴は目覚めの悪さにあります。朝起きた時に、頭が重い、頭が痛い、たちくらみ、めまいがする。手足が冷える。症状のひどい人は、今何時なのか、ここはどこなのかさえわからない睡眠酩酊状態といわれる見当意識障害を起こすことすらあります。
- Sさん
- 顔を洗うと眠気が少し楽になります。冷たいおしぼりも効果があります。何か良い方法があるでしょうか。
- 大田医師
- 10代から20代に目立つ病気で、突然眠気がくるというのではなく、次第に眠気が高まるのが特徴です。洗顔や冷たいおしぼりは効果があるはずです。その眠りのほとんどがノンレム睡眠で、レム睡眠の脱力発作といった症状はありません。過眠症で有名なナルコレプシーの短い居眠り発作ではなく、放っておくと1時間も2時間も眠ります。それだけ寝たにも関わらず覚醒後の爽快感がない、やっかいな病気です。
- Sさん
- 遺伝性はありますか? 子供が心配です。
- 大田医師
- 今のところ遺伝性は認められていません。
- Sさん
- 薬剤での治療法はありますか。
- 大田医師
- 覚醒作用を持つ精神賦活剤が有効です。厚生労働省は慎重投与を呼びかけています。
かかりつけ医にご相談下さい。
- Sさん
- 過眠症を起こす病気はどんなものがありますか、
- 大田医師
- 有名なのはナルコレプシーですが、頻度が少ないです。外傷性過眠症は脳損傷に基づく、損傷のひとつなので、時間の経過とともに、脳の傷の回復とともに症状も回復してきます。最も多いのは睡眠時無呼吸によって睡眠が分断されて睡眠中に頻繁な覚醒反応を起こすために貧しい睡眠となり、日中に過度の睡気を起こす、これが最も頻度として多いと考えられます。特発性過眠症は2番目に多い過眠症と考えられます。
- Sさん
- 治療法はありますか
- 大田医師
- 中枢神経を復活するある種の薬剤を使用するケースがあるようです。
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