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家族からの訴え
二人兄弟の兄です。サッカー推薦で有名私立高校に入る。成績は5番以内。不登校の原因ははっきりしない。頭痛・腹痛の訴えが増え、次第に学校を休むようになった。性格は無口で潔癖症。食事は毎回新しい割り箸を使う。しかし、頻回に手を洗うことはない。次第に学校に行きたがらなくなり、部屋に引きこもり、注意した父親をなぐり、骨折させるなど、家庭内暴力がエスカレート。目つきが普通ではない。病院に連れて行くなど、とんでもない話。精神科に相談に行くと、強制入院をすすめられたが、知り合いで精神科にかかって、ヨレヨレになった子供さんがいるため、踏ん切りがつかない。
医師からの回答
その後の状態はいかがでしょうか。家庭内暴力のため、危険状態とのことで、やむを得ず抗精神病薬リスパダール水薬を処方しました。
この薬は統合失調症の特効薬として有名ですが、ご子息が統合失調症だから処方したわけではなく、家庭内暴力による事故を防ぐためです。リスパダールは、鎮静作用がそれほど強い薬ではありませんが、本人に気づかれず、飲み水や食事に入れて内服させることができる唯一の水薬です。 不登校、家庭内暴力児には、複数の人格が現れる解離性障害、対人関係に問題が生じやすいアスペルガー症候群などの軽度の発達障害で、学校になじめず不登校に陥り暴力的になるケースがあります。 いずれにせよきちんとした専門医による診断と治療、更にはカウンセリングが必要です。
リスパダール水薬は、一日0.5ccから開始し6ccまで増量できます。おそらく3~4cc程度でかなり落ち着き、病院受診のチャンスがくるのではと期待されます。 リスパダールにも副作用が皆無ではありませんで、最大14日しか処方できません。何かあれば遠慮なく状況をご連絡下さい。
明神館脳神経外科 大田こうすけ
いじめ、不眠、過眠により就学困難や不登校に陥っている児童生徒に対する接遇は難しいものがあり、日本は精神科医の不足、カウンセリング制度の遅れが目立ち、家族を支援する社会システムの未熟な国と言われています。 子供を取り巻く環境の複雑化は子供にとって、心のストレスとなり、精神疾患に発展していく危険性を含んでいます。そういった現状を踏まえ、明神館脳神経外科で診療上注意していることは、以下の通りです。
1)褒める、そして叱らない
2)学校など子供を取り巻く環境に一方的に触れない
3)本人の性格を話題にしない
4)休学退学など重大な決断を求めない
5)親は“常識”という目線から子供の精神状態を冷静に観察する
6)精神疾患が疑われる場合は、速やかに精神科を受診する
7)子供が精神科受診を拒否する場合、精神科医と連携し抗精神病薬による早期介入を実践する
8)最悪の状況への対処、自殺防止を常に念頭に置く