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魂をなくした子供たち(不登校に潜む深い闇)

不登校の子供に興味を持たれたきっかけは。

不登校を専門にしている東林館学園(喜田みつお理事長)の理事を仰せつかって以来です。

出会ったきっかけを教えてください。

睡眠障害、なかでも睡眠覚醒リズム障害、わかりやすく言うと昼夜逆転のために学校に行けなくなった子供との出会いからです。

不登校の子供を診られての印象は。

睡眠相後退による単純な昼夜逆転による不登校は少ないようです。

どんな子供さんが多いのですか。

昼夜逆転だけでなく、心が病んでいるために学校に行けない子供さんの方が多いです。

ところで、いじめによる不登校の問題が社会でクローズアップされていますが、実体はどうなのでしょう。

私の関わっているお子さんで、いじめが原因で不登校になっているケースは少数例です。多くは心を病んでいるケースです。

具体的にどのような対応をされていますか。

本院(脳神経センター大田記念病院)の小児神経科医師・精神科医師との連携は欠かせません。昼夜逆転による不登校は治療によって治せます。また、いじめによる不登校も、原因である“いじめ”そのものを取り除くことで改善します。

具体的な心の病について教えてください。

多いのは、社会適応障害です。対人関係におけるコミュニケーション障害、周囲の変化に対するパニック障害などです。 このような精神疾患は私の専門外なのですが、専門の精神科医の治療を受ければ改善するといった簡単な話ではありません。

薬物療法は効果はあるのでしょうか。

私のところに来る前にほとんどの不登校児は、心療内科・精神科での治療歴があります。ということは、専門的な治療を受けても、なかなか効果は得にくいということでしょうね。

カウンセリング療法の話をよく耳にしますが、こちらの効果はどうなのでしょう。

多くの不登校児が既にカウンセリングを受けておられます。しかし限られた効果のようです。

100%の効果が期待できるものはないということでしょうか。

不登校の原因は極めて根深いものがあります。心が病んでいると表現しましたが、最近は心を病むは子育ての問題である気がしています。昼夜逆転・いじめ・適応障害などより、もっと深い問題が隠れているように感じます。

“心を病む以前の問題”とはどういうことでしょう。

“病む”とは、もともと健康な心と体があって初めて“病”が生じます。しかし最近の子供さんには、その根本である健康な心そのものが育っていないように見えます。「魂をなくした子供たち」とでも言うのでしょうか。薬物やカウンセリングでは対処できない悲しい現実です。

その原因は一体どこから。

健康な魂の発育には、恵まれた環境(プラスの環境)だけでなく、恵まれない環境(マイナスの環境)も必要です。今の子供たちは物質的には恵まれていますが、反面とてもかわいそうな環境下にあるのではないでしょうか。 昔の子供は汗を流して、したくない家の手伝いをさせられたものです。また、子供なりの知恵を出して寒さ暑さをしのいでいました。何もかも揃っている現代では、悲しいかな子供にはすることがありません。そこには知恵も育たず、自然への畏敬も育たず、人への感謝も育たないのです。必要な心の基本構造が出来上がっていないのです。

どうしたらそういう状況を克服できるのでしょうか。

生きる原点に還ることが必要です。 最近、食事の時間が来たからと、食べたくもない幼児に母親が無理やりスプーンで食べさせている姿を見かけます。昔は空腹で泣き叫んで、そのまま泣き疲れて寝ていました。子供は泣きながら知恵を育てていたのです。 服を一枚余分に着せれば済むのに、すぐに暖房に頼る親。 雨が降れば車で学校へ送迎する親。 エアコンもない、車もない昔の子供は、寒さに震え、暑さに喘いでいました。子供にマイナスの刺激を一切与えない子育てこそ改めるべき喫緊の課題です。忍耐・工夫・協調の心を育てない子育てに問題があるのではないかと強く感じます。

いま現在不登校になっている子供に対してはどうしたらよいのですか。

幼児とは違いますから、育て直すというわけにはいきません。しかしある程度のマイナス刺激は必要です。大切なのはまず忍耐・工夫・協調の心を育てるということです。 その極端な例が「戸塚ヨットスクール」の事件です。戸塚イズムは多くの支持を受け今も健在です。

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