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補助療法としてのメラトニン

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医師として自分自身の体験から

メラトニンは強力な抗酸化ホルモンです。

Melatonin
Advanced sleep, Anti-dementia & Anti-cancer.

メラトニン

メラトニンはトリプトファン(アミノ酸)からセロトニンを経て体内で合成されるホルモンです。抗酸化作用、神経保護作用により認知症の予防治療、がんの予防、がんの進行抑制、眼圧降下作用、概日リズム調整作用が報告されています。

 

海外ではメラトニンはドラッグストアで簡便に買うことができますが、厚生労働省が医薬品としても一般大衆薬としても認めていないため、個人的に輸入されています。医師が医薬品としてメラトニンを使いたいときは厚生労働省に申請し薬監証明をもらいます。では、薬監証明で購入したメラトニンは安全かというとそうとは限りません。輸入業者との慎重な打ち合わせが必要です。大衆薬として認めない種々の理由があるからです。
米国では多種類メラトニン製品が発売され多くの人が服用していますが、メラトニン含有量に数倍の差があったり、他の成分セロトニンが含まれていたり不純物など品質管理の問題が指摘されています。米国薬局方協会USP(U.S.Pharmacopeial Covention)はUSP検証済マークの付いたメラトニンの購入を勧めています。アメリカ睡眠学会はつい最近2020年、睡眠に関しては効果不詳のため治療薬として使用しないことを推奨するとしています。その一方で日本の厚労省はメラトベルという商品名で小児の神経発達症に伴う入眠困難治療薬としてメラトニン顆粒を承認し、2020年6月から処方可能となりました。メラトニンには二次性徴抑制作用、女性の場合は初潮を遅らせる作用があるため、フランスでは13歳児までの使用は制限しています。今回発売になったメラトベルも初潮年齢の女性には慎重処方が求められます。その他、炎症促進性作用、免疫活性化作用などがあるため炎症性疾患、自己免疫疾患に罹患している人は内服しないよう注意が必要です。
メラトニンは国際宇宙ステーション実験棟「きぼう」において破骨細胞の抑制作用が認められています。閉経後の骨粗鬆症の進行と認知症の進行を抑制するなど一段とアンチエイジング効果に期待が集まっています。しかし安易にメラトニンを購入し安易に内服することは不純物等の問題が大きいということです。私自身認知症と進行がんの補助療法にメラトニンを処方しています。特に抗酸化作用についてはメラトニンそのものの抗酸化作用だけでなくメラトニンはMT1、MT2受容体に作用することでスーパーオキサイドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどの抗酸化酵素の発現が活性化し増加することが注目されています。

 

メラトニンはその強力な抗酸化作用から癌抑制効果への期待が高まっています。また、メラトニンは分子量が小さく容易に脳血管の関門(BBB)を通過し脳内に入ることができるため、悪性脳腫瘍に対する治療効果、およびその神経保護作用から認知症や神経変性疾患に対する治療効果への期待が高まっています。飲み方は就寝60~90分前の内服が推進されています。

メラトニンは年齢と共に分泌量が低下します

メラトニン内服量/日の目安

内服量 期待しうる作用 副作用
低用量 0.5~1mg 生理活性 なし
中用量 3~5mg 抗酸化作用
網膜メラトニン受容体活性化による眼圧低下作用
耳鳴り改善作用
ほぼなし
高用量 5~10mg 強い抗酸化作用
神経保護作用
認知症夜間周辺症状の
改善作用
レム睡眠行動障害改善作用
耳鳴り改善作用
まれに日中の眠気、
倦怠感
まれに体温低下
メガドーズ
大容量
30~100mg 強い抗酸化作用 悪性脳腫瘍 癌
⇒特に夜勤者に多い乳がんに有効
抗認知作用⇒SCI、MCI、アルツハイマー初期、パーキンソン認知症初期
高い忍容性を示す
ときに夜間~日中に及ぶ体温低下
⇒対策として週1回投与法あり
まれに肝障害、腎障害

※これらのメラトニン作用に対する研究論文は多数あり、私の能力では論文の取捨選択は難しい。興味のある方はPubMedで検索下さい。

 

がんの 進行・転移に対する作用

メラトニンはがんに効くのか、、、?
疫学的には、、、効いています。
メラトニンはがんの進行や成長を抑制するという疫学的、実験的、臨床的な研究報告は当惑するほど莫大にあります。特に疫学的研究報告は意味があります。疫学とはがんに罹患した人たちの集団に対するメラトニン効果を追跡調査したものです。メラトニンとがんの研究で明らかになったエビデンスは、エストロゲン依存性乳がんを抑えるインドールアミンに関するものが有名です。最近の多くの研究、2017年米国、2017年中国、2019年中国・スペインなどから、がんに対するメラトニンの特徴的な作用は、抗がん剤やがん毒素からヒトの正常細胞に対する保護作用、肝毒性の軽減作用、転移の抑制作用であることが発表されています。メラトニンの化学療法や放射線療法の副作用を軽減し治療効果を強化するがん治療の補助療法としての多くの研究から、米国の研究者は、患者の身体的なウェルビーイング(良好な状態)を改善するために、従来の抗がん治療とメラトニンの併用を積極的に勧めています。しかしメラトニンの実験的知見の数々は、患者のウェルビーイングの改善だけでなく、それを遥かにしのぐ効果を示唆しています。予防には1~3mg/日、進行・転移には10~30mg/日が処方されています。フランス政府は2018年4月、メラトニンは炎症促進性作用と免疫活性作用があるため炎症性疾患自己免疫疾患に罹患している人は内服しないよう警告しています。
私はメラトニン輸入のための薬監証明に必要な書類に『最近の研究では、免疫担当細胞を賦活し、がん細胞にアポトーシスを融合し、活性酸素を補足するなど…幅広い作用が報告されている』と記載されています。また、医師による治療のための輸入に門戸が開かれていることは、厚生労働省もメラトニンのがんに対する薬効を評価しているものと思います。
メラトニンの分泌は男女ともに更年期から激減し60歳代で分泌を停止します。がん発症年齢といわれている60歳代からは、メラトニン服用の効果が期待できます。なお、メラトニンには性抑制作用がありますのでパートナーがおられる方はお互いマナーとして単なる予防には生理学的活性の範囲で1mg、せいぜい3mg内服をお勧めします。特に性ホルモン依存性の乳がん、前立腺がんなどの予防・進行・転移を抑制する効果に期待が寄せられており、海外では50㎎以上の高用量が用いられていますが病状、体調により医師にご相談下さい。
進行がん、見放されがんに対してはどうであろうか。私は米国人と日本人の体重差からメラトニン内服量を5~30mg/日が妥当な量と思っています。

  • メラトニンは時に悪夢や睡眠障害などありますが、全体的に見て副作用は少ないです。メラトニンは60歳~65歳で分泌停止します。
  • メラトニンは厚生労働省の輸入薬監証明を取得し処方しています。

【参考文献】

  1. Li Y, Li S, Zhou Y, et al. Melatonin for the prevention and treatment of cancer. Oncotarget. 2017 Jun 13;8(24):39896-39921.
  2. Reiter RJ, Rosales-Corral SA, Tan DX, et al. Melatonin, a Full Service Anti-Cancer Agent: Inhibition of Initiation, Progression and Metastasis. Int J Mol Sci. 2017 Apr 17;18(4).
  3. Zhang L, He Y, Wu X, et al. Melatonin and (-)-Epigallocatechin-3-Gallate: Partners in Fighting Cancer. Cells. 2019 Jul 19;8(7).
  4. Menéndez-Menéndez J, Hermida-Prado F, Granda-Díaz R, et al. Deciphering the Molecular Basis of Melatonin Protective Effects on Breast Cells Treated with Doxorubicin: TWIST1 a Transcription Factor Involved in EMT and Metastasis, a Novel Target of Melatonin.Cancers (Basel). 2019 Jul 19;11(7).

 

【参考資料】
1.認知症に対する作用

メラトニンの持つ強い抗酸化作用は認知機能の改善に効果があるとする実験的報告は多数ありますが、人に対する大規模ランダム化比較試験はまだありません。実際に臨床で使用してみてメマリー、アリセプトなどと同程度かやや有効の印象です。メラトニンは1mgで生物学活性は3倍ありますので予防には1mgで十分です。治療の場合は医師の指示に従って下さい。10mgを超えると時にうつ反応を来たすことがあり、私は少量の三環系抗うつ薬を併用しています。認知機能によいと言われているバルプロ酸、レベチラセタムとの併用も行っています。2003年日本と米国の共同研究では、メラトニンは酸化とアミロイド病変を抑制する。2009年ドイツの研究では、メラトニンは新生神経の生存を調整する。2017年コロンビアとスペインの共同研究では、メラトニンはミトコンドリア機能を増加することで神経幹細胞の分化と生着を促進する。2018年中国の研究では、メラトニンはカイニン酸由来の傷害から海馬神経を守る。同じく中国の研究では、メラトニンはアミロイドβ1-42、P-タウタンパクの発現を減少させるなど多くの報告があります。
極めて安価なメラトニンに対する製薬メーカーの興味はゼロに等しく、大規模製薬メーカーのない中国の先進的研究が目立っています。

【参考文献】

  1. Shi C, Zeng J, Li Z, et al. Melatonin Mitigates Kainic Acid-Induced Neuronal Tau Hyper phosphorylation and Memory Deficits through Alleviating ER Stress. Front Mol Neurosci. 2018 Jan 24;11:5. eCollection 2018.
  2. Gong YH, Hua N, Zang X, et al. Melatonin ameliorates Aβ1-42 -induced  Alzheimer’s cognitive deficits in mouse model. J Pharm Pharmacol. 2018 Jan;70(1):70-80. Epub 2017 Oct 10.
  3. Mendivil-Perez M, Soto-Mercado V, Guerra-Librero A, et al. Melatonin enhances neural stem cell differentiation and engraftment by increasing mitochondrial function.J Pineal Res. 2017 Sep;63(2). Epub 2017 May 18.
  4. Ramírez-Rodríguez G, Klempin F, Babu H, et al. Melatonin modulates cell  survival of new neurons in the hippocampus of adult mice. Neuropsychopharmacology. 2009 Aug;34(9):2180-91. Epub 2009 May 6.
  5. Matsubara E, Bryant-Thomas T, Pacheco Quinto J, et al. Melatonin increases survival and inhibits oxidative and amyloid pathology in a transgenic model of Alzheimer’s disease.J Neurochem. 2003 Jun;85(5):1101-8.

2.認知症の睡眠障害にメラトニンが有用

認知機能と睡眠についての標準治療への徐放性メラトニン2㎎の上乗せ効果について6ヶ月間にわたる多施設共同二重盲検並行群比較試験においてメラトニン治療はプラセボに比してMMSEスコア、睡眠効率が平均IADL1において有意に良好であった。両群間の有意差は治療期間が長期であるほど顕著であった。この調査研究から熟眠障害と認知機能の低下には因果関係があることが示唆される。

【参考文献】Alan G Wadeら clinical interventions in aging online版2014.6

 

3.睡眠相の調整作用

小中学生から高校生にかけて、いわゆる前思春期または思春期の子どもにおける睡眠相の乱れは⇒夜9時10時に入眠できない、朝登校できない、授業中眠るなど学校生活に支障を来たします。これらの睡眠相後退症候群や非24時間睡眠覚醒症候群に対するメラトニンの効果は弱く、生物学活性を超える量を投与すると成長ホルモンの抑制、第二次性徴の抑制を来たすなど副作用が効果を上回ることがあるため、原則13歳までの子どもには使用していません。成人には自然睡眠を誘発する作用があります。良質な睡眠は次に述べるアンチエイジングの基本です。若い人なら1mg、中年でも3mgあれば十分です。なおフランスでは2mg/日以下に規制されています。

 

4.コロナウイルスに対する作用

世界中がコロナウイルスの対策と治療に躍起となっています。混沌とした情勢の中でBCGとメラトニンが注目されています。特にメラトニンは安価で製法が簡単なためアフリカや東南アジアでメラトニンの内服を勧めているようです。詳細については不詳ですが概ね40㎎以上/日内服のようです。

 

 

一般財団法人 渋谷長寿健康財団
研究員 医学博士 大田浩右

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