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認知症 予防・治療

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認知症の予防は、早期発見から
50歳から 隠れ認知症は始まっている

厚生労働省は、65歳以上になると、4人に1人は隠れ認知症MCIがいると警告しています。MCIは、軽度認知障害と呼ばれ、日常生活動作は正常なのですが、本人、家族共に、なんとなくおかしいと、記憶障害を訴えます。学会の認知症分類にないため、軽度認知障害MCIは、隠れ認知症と言われています。

認知症発症の数年前から始まっている、この軽度認知障害MCIを早期に発見し、適切な予防対策を取れば、認知症の発症を止めたり、遅らせたり、元に戻すことができます。

 

MRI検査 VSRAD advance 解析

MRI検査により記憶中枢と言われている海馬および海馬傍回の萎縮の程度を人工知能が解析します。Zスコアと呼ばれています。

 

隠れ認知症は予防できる

隠れ認知症と呼ばれている主観的記憶障害や、軽度認知障害は、認知症と診断される前の段階です。この段階で、適切な対応をすれば、認知症に進むことなく、正常生活を送ることができます。認知症発症予防治療は、なんと言っても生活習慣の改善です。睡眠、筋肉・骨とウォーキング、会話・おしゃべり ⇒詳しくはこちら

 

薬物療法

 

注:レミニール、アリセプト、リバスチグミンは、同種類製剤のため、重複処方はできません。実際には、少量を組み合わせると、有効なことがあります。大きな問題は、現在発売されている4種類の薬が有効なのは、処方して1~2年しかないという論文が発表されていることです。 

 

効果が期待される薬

認知症の症状が現れる10年くらい前から、「物忘れが多くなったかな」という軽度認知障害MCIの期間が数年あります。この段階なら、認知症の進行を遅らせることができるかもしれないという研究成果が出ています。

 

メラトニン

代表は抗酸化ホルモン、メラトニンです。副作用が少なく、安心して内服できます。睡眠リズム改善に使用される量よりは数倍多い量が試みられています。 

メラトニンの持つ強い抗酸化作用は認知機能の改善に効果があるとする実験的報告は多数ありますが、人に対する大規模ランダム化比較試験はまだありません。実際に臨床で使用してみてメマリー、アリセプトなどと同程度かやや有効の印象です。
メラトニンは1mgで生物学活性は3倍ありますので予防には1mgで十分です。治療の場合は医師の指示に従って下さい。10mgを超えると時にうつ反応を来たすことがあり、私は少量の三環系抗うつ薬を併用しています。認知機能によいと言われているバルプロ酸、レベチラセタムとの併用も行っています。
2003年日本と米国の共同研究では、メラトニンは酸化とアミロイド病変を抑制する。2009年ドイツの研究では、メラトニンは新生神経の生存を調整する。2017年コロンビアとスペインの共同研究では、メラトニンはミトコンドリア機能を増加することで神経幹細胞の分化と生着を促進する。2018年中国の研究では、メラトニンはカイニン酸由来の傷害から海馬神経を守る。同じく中国の研究では、メラトニンはアミロイドβ1-42、P-タウタンパクの発現を減少させるなど多くの報告があります。
極めて安価なメラトニンに対する製薬メーカーの興味はゼロに等しく、大規模製薬メーカーのない中国の先進的研究が目立っています。

【参考文献】

  1. Shi C, Zeng J, Li Z, et al. Melatonin Mitigates Kainic Acid-Induced Neuronal Tau Hyper phosphorylation and Memory Deficits through Alleviating ER Stress. Front Mol Neurosci. 2018 Jan 24;11:5. eCollection 2018.
  2. Gong YH, Hua N, Zang X, et al. Melatonin ameliorates Aβ1-42 -induced  Alzheimer’s cognitive deficits in mouse model. J Pharm Pharmacol. 2018 Jan;70(1):70-80. Epub 2017 Oct 10.
  3. Mendivil-Perez M, Soto-Mercado V, Guerra-Librero A, et al. Melatonin enhances neural stem cell differentiation and engraftment by increasing mitochondrial function.J Pineal Res. 2017 Sep;63(2). Epub 2017 May 18.
  4. Ramírez-Rodríguez G, Klempin F, Babu H, et al. Melatonin modulates cell  survival of new neurons in the hippocampus of adult mice. Neuropsychopharmacology. 2009 Aug;34(9):2180-91. Epub 2009 May 6.
  5. Matsubara E, Bryant-Thomas T, Pacheco Quinto J, et al. Melatonin increases survival and inhibits oxidative and amyloid pathology in a transgenic model of Alzheimer’s disease.J Neurochem. 2003 Jun;85(5):1101-8.

抗てんかん薬

てんかんの治療薬であるバルプロ酸、レベチラセタム、トピラマートを少量使用することで、認知症の発症を遅らせるという臨床試験が、現在続けられています。 

記憶の原理は、記憶の第一次中枢海馬(短期記憶)と、記憶の第二次中枢前頭葉(長期記憶)の連係プレーによって行われます。日中、目、耳、指から入ってきた情報は、海馬に蓄積されます。この海馬に蓄積された情報は、夜間睡眠中に前頭葉に転送され、長期記憶となります。軽度認知障害MCIの人や慢性的睡眠不足の人は、情報の送り先前頭葉が疲弊しているため、送り先がなくなった海馬は、興奮状態になると考えられています。この海馬の興奮を鎮めるため、疲弊した前頭葉を元気にする薬剤として抗てんかん薬と三環系抗うつ薬が注目されています。
私が40数年来、ナイト治療として夜1回だけ処方してきた少量のバルプロ酸(デパケン)とアミトリプチリン(トリプタノール)はこの原理にかなった薬剤と考えています。

 

 海馬の興奮を鎮めると、認知機能の改善が見られるという動物実験の結果に基づいて、少量のレベチラセタムの人の認知症への効果が期待され、話題となっています。→文献1.2.3
治験の段階では、65mg~125mg/日の効果が認められています。一方で、250mg/日での効果はないことが判明しています。→文献2
現在フェ-ズⅡのデータしか出ていません。最近のニュースでは、米国ジョンズホプキンス大学を中心に、第三相試験が始まろうとしています。
→ http://www.alzforum.org/therapeutics/agb101
未だ治験中で作用機序が解明されていない薬剤なので厚生労働省は治療薬として認可していません。内服する場合は、患者と家族への十分な説明の基に同意が必要となります。

● 決定的な治療薬の存在しない認知症患者にメラトニン、少量のバルプロ酸、レベチラセタムを一定期間内服して、効果をみる価値はあると考えています。

● 一般の人にはわかりにくいですが、抗てんかん薬の作用機序を図に示します。

・バルプロ酸(デパケン、セレニカなど)抗てんかん薬 →文献5、6、7、9
・レベチラセタム+トピラマート(トピナ)抗てんかん薬 →文献4
・クエチアピン(セロクエル)、リチウム、フルオキセチン(プロザック)向精神薬
・ドネペジル(アリセプト)、メマンチン(メマリー)記憶改善薬 →文献9
・ヒューペルジンA →文献8

文献1:Neurobiol Learn Mem. 2013 May;102:7-11. doi: 10.1016/j.nlm.2013.02.001. Epub 2013
Feb 13. Effects of levetiracetam, an antiepileptic drug, on memory impairments associated with aging and Alzheimer’s disease in mice.

文献2:Neuroimage Clin. 2015 Feb 21;7:688-98. doi: 10.1016/j.nicl.2015.02.009. eCollection 2015.
Response of the medial temporal lobe network in amnestic mild cognitive impairment to therapeutic intervention assessed by fMRI and memory task performance.

文献3:Neuroreport. 2016 Jun 15;27(9):705-9. doi: 10.1097/WNR.0000000000000601.
Levetiracetam inhibits oligomeric Aβ-induced glutamate release from human astrocytes.

文献4:CNS Neurosci Ther. 2013 Nov;19(11):871-81. doi: 10.1111/cns.12144. Epub 2013 Jul 27.
Antiepileptics topiramate and levetiracetam alleviate behavioral deficits and reduce neuropathology in APPswe/PS1dE9 transgenic mice.

文献5:Curr Alzheimer Res. 2013 Mar;10(3):261-9.
Valproic acid attenuates neuronal loss in the brain of APP/PS1 double transgenic Alzheimer’s disease mice model.

文献6:Cell Mol Neurobiol. 2014 Aug;34(6):805-12. doi: 10.1007/s10571-013-0012-y. Epub 2014 Jun 18.
Valproate improves memory deficits in an Alzheimer’s disease mouse model: investigation of possible mechanisms of action.

文献7:Acta Biochim Biophys Sin (Shanghai). 2016 Oct;48(10):930-938. Epub 2016 Sep 10.
Gender difference in valproic acid-induced neuroprotective effects on APP/PS1 double transgenic mice modeling Alzheimer’s disease.

文献8:Expert Rev Neurother. 2016 Jun;16(6):671-80. doi: 10.1080/14737175.2016.1175303. Epub 2016 Apr 20.
Huperzine A as a neuroprotective and antiepileptic drug: a review of preclinical research.

文献9:Neural Regen Res. 2016 Nov;11(11):1712-1726. doi: 10.4103/1673-5374.194708.
Six psychotropics for pre-symptomatic & early Alzheimer’s (MCI), Parkinson’s, and Huntington’s disease modification.

【 参考資料 】
認知症に効くかもしれないサプリメント

2018年3月30日作成 2019年7月24日一部改変
認知症予防治療への挑戦  文責:大田浩右

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